汝、閲覧するなかれ

3分で読める散文詩。

祖師ヶ谷大蔵「それいゆ」

f:id:salada4646:20180621102851j:plain いい一日とはいい朝食から始まる。

 私がそんな風に考え始めたのは旅行をよくするようになってからである。

 旅館の朝食は華やかでおいしい。

 ホテルの朝食ビュッフェは自由さにワクワクする。

 目の前に差し出されたごちそうを味わいながら「さて、今日はどこに行こうか」などと考えるのだ。これほどまでに優雅な時間の過ごし方を私は他に知らない。

 

 祖師ヶ谷大蔵駅の近くにそれいゆという喫茶店がある。

 こちらの喫茶店ではモーニングの時間帯なら珈琲一杯の値段でトーストかサンドイッチがもれなくついてくるのである。鬼のコストパフォーマンスだ。

 店内にモーニング用のメニューは載ってないため知る人ぞ知るメニューなのかもしれない。

 ちなみにこちらのアイスコーヒーはダッチコーヒーという。ウォータードリッパーで抽出されたすっきりした味が特長で、ミルクがよくなじむ。入れ過ぎに注意されたし。

 

 朝に人々はあちらこちらへせっせと移動する。

 時間という魔物にムチ打たれ目的地へ最短距離で進んでいく。

 そんな中ゆっくりとサンドイッチを味わってみるのは、なんとも贅沢な時の使い方ではなかろうか。

 忙しいうちが華、という言葉がある。

 何を言う。のんびりしてても掴める華はあるのだ。